仕事とライフイベント① 彼女からのプロポーズ

結婚、出産、育児、転職、起業……。
人生の中で訪れる様々なライフイベントは、ときにポジティブ、ときにネガティブな感情を呼び起こします。

本シリーズ「仕事とライフイベント」では、仕事とプライベートの両立など、悩みながら人生の選択をするビジネスパーソンからお話を伺い、毎回読み切り形式でお届けします。
※プライバシー保護のため一部内容を変えております。

<第1回>
お話を伺った方:Eさん(看護師/30代/男性)
テーマ:結婚
– 印象に残っている出来事を教えてください。

結婚を決めたときのことです。
看護師1年目で、配属されたのは高度救急救命センターでした。
配属1ヶ月後に県内で大規模な事故があり、救急搬送が続き、担当していた患者さんが亡くなることが立て続けに起こりました。
私はショックを受けて働けない状態になってしまって……。
当時彼女と同棲していたのですが、働けないことを情けなく感じて落ち込んでいると、彼女が「私も看護師だし、養うから結婚しよう。働けるようになったら恩返しして。」と笑顔で言ってくれたのです。

– 当時のお気持ちと、どのように対応したか教えてください。

私はずっと「男は働いて当たり前」だと思っていたので、働けないことが情けなくて仕方がありませんでした。
落ち込んで、彼女にも「愛想を尽かされるのではないか」と思っていた中で言われた言葉だったので、びっくりした覚えがあります。
同時に、自分を縛っていた焦りやプレッシャーから開放されたような気持ちになりました。
気がつけば、「こんなに情けない男ですが、よろしくお願いします。」と言っていました。

– 当時を振り返って、現在のお気持ちを教えてください。

現在は共働きで働いており、「どちらがどのような状況になっても、もう一人が支えればどうにかなる」という気持ちで働いています。
そのためか、余計なプレッシャーを感じることなく仕事に集中できています。
当時の彼女である妻には、感謝しているだけでなく、あの当時の自分の命も救ってもらったと思っています。
なかなか口に出して言うことは恥ずかしいのですが、いつか「あの一言で救われました。ありがとう。」と伝えたいと思っています。

– 当時、周囲の方々はどのような反応でしたか。
当時の職場の方には、本当に良くしていただきました。
上司は私の顔色や働いている様子を見て何かおかしいと感じたのか、すぐに看護師長と状況を共有して、休職することを提案してくださいました。
その後も度々体調を心配してメールをくださいましたし、同期の友人は気分転換になればと食事に連れ出してくれました。
最終的には退職してしまいましたが、それでも皆さんに「同じ道に進んでいるから、どこかで出会ったらまた一緒に働こう。」と言っていただけて嬉しかったです。

– ご夫婦で支え合いながら、ご家庭を築いていらっしゃる様子が伝わってきます。ありがとうございました。