本シリーズ「仕事とライフイベント」では、仕事とプライベートの両立など、悩みながら人生の選択をするビジネスパーソンからお話を伺い、毎回読み切り形式でお届けします。
※プライバシー保護のため一部内容を変えております。
<第2回>
お話を伺った方:Sさん(臨床検査技師/30代/女性)
テーマ:妊娠
– 印象に残っている出来事を教えてください。
妊娠し、職場に報告したときのことです。
まず直属の上司に報告したのですが、おめでとうの一言もなかったことがとてもショックで、よく覚えています。
お祝いの言葉もないまま、「休みにいつ入るのか」「産前産後休暇や育児休暇を当然取れるものだとは思わないでほしい」などと言われ、涙が出ました。
そのあと別の上司に報告したところ、そちらからは自然に「おめでとう」と言ってもらえて、少し気持ちが落ち着きました。
– 当時のお気持ちと、どのように対応したか教えてください。
所属部署の仕事はぎりぎりの人員で回しているため、忙しいことは理解していますが、せめて「おめでとう」の一言がほしかったです。
産前産後や育児のために休みを取ることは労働者の権利だとは思っていますが、休むことで周りに負担をかけることも認識しており、「当然」といった厚かましいニュアンスの気持ちを持ってはいませんでした。
どうしてこんなことを言われなければならないのだろうと、ショックのあまり何も言い返せませんでした。
本当に悔しく悲しかったです。
– 当時を振り返って、現在のお気持ちを教えてください。
どうしてあんなことを言われなければならなかったのか……。
現在も分かりません。
忙しい職場なので、上司も気持ちに余裕がなかったのかなと思います。
– 今なら、どのように対応しますか。
今の私なら、冷静に「そんなふうに思っていません」と伝えるかもしれません。
でもやっぱり、休むことの申し訳なさや今後の人間関係のために、口をつぐんだままかもしれない……。
ただ、将来もし自分が上司の立場になったら、決して後輩に同じことは言いません。
言いたくないし、言ってはいけないと思います。
– 当時、周囲の方々はどのような反応でしたか。
当時はコロナウイルスが流行り始めた頃でした。
私の職場は臨床研究施設なのですが、コロナ感染拡大により通常の治験スケジュールがぐちゃぐちゃになり、さらにコロナワクチン関連の治験が至急の扱いで入るなど、とても忙しい状況でした。
ひどい言葉も言われましたが、できるだけ妊娠中の私に悪い影響が及ばないようにと、危険性のある検体を取り扱う業務から外すなど配慮もしていただきました。
おかげさまで、無事出産することができました。
– おめでたい妊娠報告だからこそ、突然心無い言葉を向けられてしまったらショックですよね。今は無事に出産されたとのことで、おめでとうございます!!お話を聞かせていただき、ありがとうございました。