本シリーズ「仕事とライフイベント」では、仕事とプライベートの両立など、悩みながら人生の選択をするビジネスパーソンからお話を伺い、毎回読み切り形式でお届けします。
※プライバシー保護のため一部内容を変えております。
<第4回>
お話を伺った方:Yさん(保育士/30代/女性)
テーマ:転職
– 印象に残っている出来事を教えてください。
2人の子どもを出産した私は、時短勤務の保育士として復帰しました。
家事や育児に追われているけれど言い訳にしてはいけない、時短勤務をしているから他の先生に迷惑がかかっている、ということを意識して自分を奮い立たせていました。
でもある日、主任保育士から「子どもの発熱くらいで休まれたら迷惑!仕事を優先できないなら辞めなさい」と言われて……。
そのとき、張りつめていた糸がプツンと切れました。
保育士という仕事は好きだけれど、わが子が一番大切であることは変えられない事実。
もうここにはいられない、と転職を決意しました。
– 当時のお気持ちと、どのように対応したか教えてください。
「保育士不足のなか、個々の家庭事情に理解を示せない主任なんてマネジメントが下手すぎる!」と、当時の私は怒り心頭でした。
子育てをしていることで迷惑をかけていると自覚していたので、皆が嫌がるような大変な仕事は率先して引き受けてきたつもりでした。
ただ、子どもが急に熱をだすのは仕方のないことだと、同じ保育士なら理解してくれるだろうという甘えもあったと思います。
いざ退職することになると、「周囲に迷惑をかけ続けている罪悪感から解放される」「わが子に我慢をさせている今の状況から抜け出せる」と思い、少しホッとしました。
– 当時を振り返って、現在のお気持ちを教えてください。
現在は長年続けた保育士の仕事から離れ、自宅でできる仕事に転職しました。
子どもの発熱に慌てることもなく、同僚や上司に迷惑をかけることもありません。
あのとき、ムキになって仕事を優先しなくて良かったと思っています。
保育士の仕事は大好きだったので、主任の発言は本当にショックでした。
今なら「もっと時代に合った考え方に変えてください」と、意見できるかもしれません。
辞めたことは後悔していませんが、これから妊娠・出産するかもしれない若い保育士たちのために、働くママとしての立場を確立できなかったことが心残りです。
– 当時、周囲の方々はどのような反応でしたか。
当時私は、中堅保育士としての業務を多く抱えていました。
時短勤務のため、定時になったら引継ぎをして帰らなければなりません。
その引継ぎの際、嫌な顔をする先生がいたことにも薄々気付いていました。
夫には何度も「たまには子どもたちの送迎をしてほしい」「発熱で呼び出しがあったら早退してほしい」と頼みましたが、協力は得られませんでした。
夫に協力を仰げなかったとしても、家庭の問題を職場に持ち込むわけにはいきません。
同僚や上司の負担を減らすためにも、ワーママには頼れるピンチヒッターが必要だと感じました。
– 幾つもの葛藤や思いを抱えながら、お子様のことを第一に考え、ご自身を鼓舞して仕事を続けてこられたことが伝わってきました。ありがとうございました。