春風が心地よい季節となりました。
本シリーズ「コンサルあるある」では、コンサルティング会社で働く方々に実体験エピソードを伺いながら、話の中に隠れている「あるある」も一緒に紹介します。
※プライバシー保護のため一部内容を変えております。
<第9回>
– 仕事をしていて泣きたくなったときのことを聞かせてください。
【ケース1】
お話を伺った方:Kさん(監査系コンサルティング会社/30代/女性)
自分なりに成果を出せたと思ったプロジェクトで、後続フェーズのメンバーから外されたときのことです。
プロジェクトの立ち上げから携わってきて、新しいオペレーションが導入されて間もなく、自分だけがプロジェクトから外されてしまいました。
後輩たちやオペレーションを担当するクライアントの方々は、分からないことがあるとすぐに私に相談に来てくれて、オペレーションの移行はスムーズに進んでいたのですが……。
誰かに頼り切った体制は良くない、という上司の判断でした。
仕方ありませんが、現場が上手く回っていると思っていたからこそ驚きましたし、少なからずショックを受けました。
– 属人的になってしまった知識や技術を共有・分担するために体制の見直しを図る、という状況は、長期プロジェクトではよく見られますね。対応できる人に仕事が集中してしまったり、異動時に混乱が起きたりといった弊害があるため、繁忙期や年度末によく挙がってくる問題といえます。そうとはいえ、良かれと思って期待に応えてきたのに、突然チームから外されたら納得できないこともあるでしょう。予めチーム内で、「クライアントが自走できる状態を目指す」という共通認識を持っておくことが大切なのかもしれません。
【ケース2】
お話を伺った方:Oさん(シンクタンク系コンサルティング会社/20代/女性)
プロジェクトの上司Aさんと合わなくて私のパフォーマンスが上がらず、プロジェクトからリリースになった後のことです。
リリース自体は所属部署の上司Bさんと相談して決めたことですし、Aさんと私が互いに不信感を持ったままではプロジェクトにも悪影響なので、後悔していません。
リリース後に1週間ほど休暇を取得して、Aさんに対するモヤモヤは消えないものの、徐々に気持ちも落ち着いていきました。
ただ、しばらくしてAさんが他の管理職に話した内容を耳にすることがあって……。
あまりに一方的な内容だったので、やはり人間関係のトラブルが起きると立場が下の者の方が不利だな、と感じました。
コンサルタントとして、プロジェクトの状況や体制に関わらず安定したパフォーマンスを求められることは当然ですし、上手く対応できなかった自分の評判が下がることは覚悟していたのですが、すごく嫌な気持ちになりました。
Bさんや部門長は、Aさんと私の双方から話を聞いて公平に接してくれましたが、管理職の間の噂話までは止められません。
自分がいないところで不利な話が広まることに、理不尽さを感じました。
– コンサルティング業界に限ったことではありませんが、人間関係のトラブルが大きくなると、心配や不安の種が尽きませんよね。上下関係があれば尚更でしょう。相手の一方的な話が広まれば、事情を詳しく知らない人に良くない印象を持たれてしまうかもしれないし、弁解の機会はなかなかありません。近年はコンプライアンスが厳しく、明らかなパワハラやセクハラの場合は迅速に対応する企業も増えていますが、ハラスメントと言い切れない場合は煮え切らない対応になる可能性があります。対応にあたる上司や人事担当者が双方の言い分をしっかり聞いているか、客観的に判断して処理しているかなど、その会社で働き続けるかどうかを見極めるタイミングともいえるでしょう。
【ケース3】
お話を伺った方:Dさん(戦略系コンサルティング会社/20代/男性)
提案資料の修正が終わらず、家族旅行の当日にフライト直前まで仕事をしていました。
楽しみにしていた旅行なのに、空港でもPCを開いている私に対して、妻はイライラ。
私自身も、どうしてこんなところで仕事をしなければならないのか、泣きたい気持ちでした。
飛行機に乗り込む前に何とか資料を完成させ、上司からは電話で「お疲れさま、助かったよ」と労いの言葉をもらいましたが……。
ワークライフバランスって何だろう、と考えてしまいました。
妻からは「年収が下がっても良いから、もっと家族の時間を取れる仕事にしてほしい」と言われています。
確かに、妻も正社員で働いていて経済的には問題がないので、仕事より家族を優先するために転職するという選択肢もあるな、と思い始めています。
– コンサルティング会社の場合、働き方は企業風土だけでなく部署やプロジェクトに依るところが大きいですよね。同じ会社に勤めていても、個人間でワークライフバランスにばらつきが見られますし、主にマネージャーなど現場におけるリーダーの働き方が反映されやすいです。そのため、ある程度の裁量がある管理職ならともかく、ポジションや体制によっては、自分でコントロールしきれないこともあるでしょう。思うような働き方とかけ離れている場合は、プロジェクトまたは所属部署の上司と業務量やスケジュールについて話し合った方が良いかもしれませんね。