コンサルあるある⑪ 考えが変わった一言

急に寒くなり、毎日どんな服を着たら良いのか迷ってしまいますね。

今回は「コンサルあるある」シリーズの最終回です。

本シリーズでは、コンサルティング会社で働く方々に実体験エピソードを伺いながら、話の中に隠れている「あるある」を紹介しています。

※プライバシー保護のため一部内容を変えております。

 

<第11回>

– ご自身の考えを変えた一言を教えてください。

 

【ケース1】

お話を伺った方:Yさん(IT系コンサルティング会社/20代/女性)

 

新人の頃に先輩のAさんから言われた、「残業ありきのスケジュールは立てないで」という言葉です。

当時の私は、仕事をとにかく早く終わらせられる人が優秀だと思っていました。

だから、数日間だけ残業すれば納期を1日早められそうな仕事を任されたとき、残業を前提としたスケジュールを作成してAさんに提出したのですが……。

「このスケジュールだと定時で帰れないでしょう?」と質問されて、「ちょっと残業すれば良いので大丈夫です、2~3日のことですし」と答えたところ、冒頭の言葉を言われました。

Aさんは「帰れるときは帰ろう」が口癖だったので、プライベートを大切にしたいのかな、くらいに思っていたのですが、一緒に仕事をするうちにタイムマネジメントを重視していることが分かりました。

実際にAさんがリーダーを務めるチームでは、バッファを含めた健全なスケジュールが組まれていて、私も他のメンバーも繁忙期以外は遅くまで仕事をすることはなかったです!

それ以来、残業しなくても業務時間内にきっちり仕事を終わらせられる人が優秀なのだと考えが変わりました。

現在、私はリーダーになりましたが、チーム全員が定時で上がれるように、メンバーと相談して無理のないスケジュールを引くようにしています。

そうはいってもトラブルが起きることもあるので、やむを得ず残業……というときもありますが。

 

– クライアントが希望する納期や品質を守れるのであれば、定時に上がっても問題ありませんよね。残業しなくても済むように先を見据えた進捗管理もコンサルタントの腕の見せどころでしょう。繁忙期や納品前など難しいときもありますが、残業を当たり前だと思わせない先輩と仕事ができて良かったですね!

 

【ケース2】

お話を伺った方:Iさん(人事系コンサルティング会社/30代/男性)

 

誰か一人がいなくなっても、問題なく機能するのが健全な組織だよ」という上司Bさんの言葉をずっと覚えています。

Bさんの前任者のCさんはパワハラ問題で異動になったのですが、私はCさんが「ウチのチームは私がいないとダメ、回らない」と周囲に話すのをよく見ていました。

Cさんの異動時にチーム全体の仕事を整理したところ、Cさん以外のメンバーが関知しない仕掛り中の仕事がたくさん出てきて、しばらくは後処理でチーム全員が大変で……。

その教訓を活かして、Bさんはどのメンバーがどんなスケジュールで作業をしているか、互いに把握できる仕組みを作ってくれて、チームの定例会議で共有するようになりました。

そのときに、冒頭の言葉がありました。

「僕一人がいなくなっても、組織は回るからね」とあっけらかんと話していたことが印象的です。

私も今は管理職になりましたが、作業が属人的にならないようにするなど、誰か一人が急に休んでも組織が回るようにしておくことを意識しています。

 

– 「○○さんがいないと回らない!」とか「○○さんがいないと困る!」といった言葉は嬉しいかもしれませんが、組織運営の観点では喜ばしいことではありません。一部の業務が属人的になり、担当者の異動や退職で混乱する現場は後を絶ちません。誰でも体調不良や家の事情で突然休むことはあり得ますし、メイン担当とサブ担当を置くなど、普段から誰かが休んでもカバーできる体制を築くことを目指したいですね。

 

【ケース3】

お話を伺った方:Oさん(総合系コンサルティング会社/30代/女性)

 

上司のDさんに仕事の悩みを聞いてもらって感謝を伝えたとき、「いえいえ、皆の話を聞くことも僕の仕事だからね」と言われました。

キャリアについて相談するうち、愚痴のようになってしまって、「お時間をいただいてありがとうございます、忙しいのにすみません」と言ったら、冒頭の言葉を返されて……。

Dさんは「皆に気持ちよく仕事をしてもらう環境をつくるのが、僕の仕事なので」と笑っていました。

当時、私はなかなか希望するようなプロジェクトに関われず、ライフプランへの影響なども考えて、焦っていました。

「キャリアについて相談したいことがあるのですが」と連絡したところ、Dさんは時間を作ってくれて、明らかに多忙なのにじっくり話を聞いてくれたのです。

私はかなり思い詰めていたのですが、否定することなく聞いてくれたので、会社に対する不満や焦りも吐き出すことができました。

問題が解決したわけではなかったけれど、話したことで少しスッキリしたし、味方がいると思えて焦っていた気持ちが少し落ち着きました。

それまで私は「会社は学校じゃないし、上司は先生じゃない」と自分に言い聞かせて、あまり個人的なことを上司に相談しないようにしていたのですが、この経験で考えが変わりました。

後輩が望むのであれば、仕事の悩みもプライベートの悩みも聞くようにしています。

業務に直結しない話でも、本人の精神状態が仕事のパフォーマンスに影響することはよくありますよね。

後輩のメンタルケアも仕事のうち、と捉えるようになりました。

 

– 仕事とプライベートをはっきり分けようとしても、一方の出来事がもう一方に影響してしまうことは誰にでも起こりうることです。気持ちが揺らぐと、普段はしないミスをしてしまったり、配慮に欠ける言動が増えてしまったりしませんか。そんなとき、誰かに話を聞いてもらうだけで気持ちが軽くなることもありますよね。コロナ禍でビジネスパーソンのメンタルケアへの関心が高まりを見せています。人と話す、おいしいものを食べる、紙に書き出す……。効果的な方法は個人によって異なりますが、自分に合ったメンタルケアの方法を身につけられると良いですね。