オランダの窓、働き方と育て方の小話② “学び直し”は当たり前?

厳しい残暑が続き、涼しい季節が待ち遠しいですね。
本コラムシリーズ「オランダの窓、働き方と育て方の小話」では、当社オランダ拠点が収集している欧州の教育や働き方に関する情報の中から、コラム担当がピックアップしたトピックをご紹介していきます。

 

<第2回>

夏のバカンスが終わり、もうすぐ9月。オランダの街には新学期を迎える子どもたちの姿が戻ってきました。9月は大人にとっても「学び直し」を意識する季節。オランダでは、社会人になってからも学び続けることがごく自然に語られます。また、労働市場の変化に対応できるよう、政府主導で大人の学び直し(リスキリング)を積極的に後押ししています。特にデジタルスキルや持続可能性に関する分野は優先度が高く、様々な企業が研修やスキルアップの機会を提供中。学び直しは個人のキャリア形成だけでなく、企業の競争力維持のためにも不可欠と考えられるようになりました。

 

例えば、ある物流企業では、現場スタッフにデータ分析やプロセス改善の研修を行いました。その結果、現場でITシステムを活用して業務効率化を推進できるようになったうえ、従業員のキャリアパスが拡大しました。別の製造業の工場では、ライン作業員がプログラミングやロボット操作を学び、自動化設備を管理する役割へとキャリアシフトした事例もあります。どちらも「現場で働き続けながら学ぶ」、「現場経験と習得したスキルを活かしてキャリアを広げる」スタイルであり、企業と従業員双方にメリットをもたらしています。

こうした取り組みは、単に保有スキルを増やすことだけでなく、社員一人ひとりがキャリアを前向きに捉え直すきっかけになっています。企業にとっても、人材の流動性が高いオランダで「学び直し」を支援することが、優秀な人材を惹きつけ、長く働いてもらうための大事な戦略になっているのです。

  

日本でも人的資本経営の文脈でリスキリングが注目され始めていますが、ビジネスパーソンが学習に時間を割くことは難しい、という意識がまだ根強いかもしれません。オランダの日常から見えてくるのは、「学び直しは特別な挑戦ではなく、キャリア形成のために自然に取り組むもの」という感覚です。日常的に学び直しの機会を設けることは、個人の成長だけでなく、組織の創造性や柔軟性にも直結します。これからの日本の職場でも、一人ひとりが望むキャリアを築くために、働きながら学びを重ねられる環境づくりが進んでいくかもしれません。

オランダの学校では、「自分で選んで学び、成長し、可能性を広げる」ことを大切にする意識が育まれています。だからこそ、失敗や未経験を恐れず挑戦することができる空気が、学校に限らず職場にも自然に浸透しています。

日本の職場でも、学び直すことが当たり前の空気を日々の積み重ねでつくっていけたら、より心地よくリスキリングの場に参加できそうですね。

  

【参考】