
年が明けて約1ヶ月経ちましたね。
本コラムシリーズ「オランダの窓、働き方と育て方の小話」では、当社オランダ拠点が収集している欧州の教育や働き方に関する情報の中から、コラム担当がピックアップしたトピックをご紹介していきます。
<第4回>
1年で最も寒い時期となりました。
オランダの冬はとにかく日照時間が短く、青空が見える日は本当に貴重です。朝8時でもまだ真っ暗、夕方17時にはもう真っ暗、という時期もあります。特に12月から2月にかけて曇り空が続き、小雨が降ったり止んだりを繰り返し。朝から雨が強く降っていると、「今日は家にこもる日ですね」と、街全体で合意が取れているかのような静けさです。
一方で、ほんの少しでも日差しがある日は街の様子が一変します。庭先や家の前のベンチで日光浴をする人、ブランケットを膝にかけてカフェのテラス席に座る人たちが増えます。外で遊びたくてウキウキしている子どもを連れて、公園に向かうパパやママも見かけます。太陽が顔を出したとたんに人通りが増え、「とにかく日光を浴びたい!」という切実な気持ちが、行動から伝わってきますね。
実はこれ、単なる気分の問題ではないんですよ。
オランダや北欧では、日照時間の短さとメンタルヘルスの関係はよく知られており、
Seasonal Affective Disorder(季節性感情障害、冬季うつ)という概念も一般的に理解されています。
そのためオランダでは、以下のような考え方が、比較的自然に受け入れられています。
- 冬でも意識的に外に出ること
- 運動、休息、栄養(日光浴をしないとビタミンDが生成されにくい)を生活の中に組み込むこと
- メンタル不調を「個人の弱さ」ではなく、環境要因として捉えること
日照時間など気候の違いはありますが、日本の職場を思い浮かべるとどうでしょうか。
「天気が悪いくらいで気分が落ちるなんて言っていられない」
「曇り空や雨は誰でも嫌なのだから仕方がない」
そんな空気が、まだ残ってはいませんか?人は環境の影響を強く受けますし、そのことは研究でも示されています。
オランダでは、冬に気分やパフォーマンスが落ちやすいことを前提に、無理にアクセルを踏み続けない働き方が選ばれているようです。クリスマスホリデーや有給休暇で普段よりも多く休日を確保したり、楽しい家族行事を計画したり。家の玄関や外壁をイルミネーションで飾り、窓際に冬らしいランプや置き物を配置するなど、家の中も外も可愛らしくなります。天気は変えられないから自分たちの行動を変える、つまり「曇り空と上手に付き合おうとする」姿勢が見えてきます。それが結果的に、年間を通した生産性の維持につながっているのかもしれません。
「一年中、同じテンションで働き続けること」が本当に合理的なのか。
季節、天候など環境による影響を、人と組織のマネジメントにおいて、どのように扱うのか。
冬の曇り空の下で、そんな問いを考えさせられます。
ちなみに、太陽が出た日のオランダの人々は特に朗らかです。「今日は良い天気だね!どんなふうに過ごす予定?」といった会話があちこちから聞こえてきます。
気持ちに余裕があるように見えるのも、自然との付き合い方の上手さから生まれている部分もあるのかもしれませんね。
【参考】
- Leiden International Centre “Tips and Tricks on how to make it through Wintertime”
- DUB “Four tips to beat the winter blues”
- NHS “Seasonal Affective Disorder (SAD)”
