本シリーズ「仕事とライフイベント」では、仕事とプライベートの両立など、悩みながら人生の選択をするビジネスパーソンからお話を伺い、毎回読み切り形式でお届けします。
※プライバシー保護のため一部内容を変えております。
<第6回>
お話を伺った方:Bさん(保育士/30代/男性)
テーマ:妊娠・出産
– 印象に残っている出来事を教えてください。
結婚から3年ほど経過し、夫婦ともに30歳近くなった頃、周囲から「そろそろ……」と赤ちゃんを期待されている雰囲気を感じ取るようになりました。
二人ともだんだんと焦り始めて、プレッシャーを感じるようになっていました。
だからこそ、ようやく妊娠が分かったときには心の底から嬉しかったです。
同時に、自分たちの両親に対して責任を一つ果たすことができる、と安堵しました。
– 当時のお気持ちと、どのように対応したか教えてください。
実は以前、流産した経験があり、今回もダメならもう無理かもしれない……という思いがありました。
口には出しませんでしたが、また同じことにならないように、と妻も私も気を張っていたと思います。
とにかく妻が無事に出産できることを願って、私は食事や家事のサポートをそれまで以上に行うようにしました。
けれども焦りがあったのか、精神的に疲れてしまい、妻に強く当たってしまうことがあり……。
妊娠から出産まで10ヶ月くらいあるので、意気込み過ぎても続かないというか、精神的なバランスを考えないと出産まで気持ちが持たないな、と感じました。
– 当時を振り返って、現在のお気持ちを教えてください。
そのあと無事出産し、今は第2子を妊娠中です。
意気込み過ぎないように気をつけていますが、「家事を率先してやろう、食事をこれまで以上に作ろう」というスタンスは、第1子のときと変わりません。
ただ、変わったこともあります。
むやみに突っ走るだけではなく、できないことはできない、と自分の中でラインを引いて諦めるようにしています。
そういうとき、少しずつ気持ちのバランスを保てるようになってきているな、と感じます。
「完璧を求めなくても良い」と思えるようになりました。
家族が増えることになるので、一家を養っていく責任は以前より強く感じていますが、焦りとは違う感情です。
– 当時、周囲の方々はどのような反応でしたか。
保育士として年長クラスの担任を務めていて忙しくはありましたが、周囲にたくさんサポートしてもらいました。
前回流産した経験によって妻は不安がっていたので、できる限り病院に付いていくようにしていました。
妻の体調に少し違和感があって、すぐに受診したこともあります。
そのようなときは職場に迷惑をかけてしまいましたが、上司や同僚が理解を示してくれたことに感謝しています。
申し訳ない気持ちはありましたが、日頃から同僚との丁寧なコミュニケーションを心がけたり、率先して仕事に取り組んだりと、できることをして職場に還元しようと努めました。
– 奥様や職場の方々への心遣いが伝わってきました。周囲に対してだけではなく、ご自身に対する精神的なケアをしっかり行うことが、心身のバランスを保つことに繋がっていますね。ありがとうございました。