仕事とライフイベント⑩ 実家のサポートを受けない選択

本シリーズ「仕事とライフイベント」では、仕事とプライベートの両立など、悩みながら人生の選択をするビジネスパーソンからお話を伺い、毎回読み切り形式でお届けします。

※プライバシー保護のため一部内容を変えております。

 

<第10回>

お話を伺った方:Yさん(保育士/30代/女性)

テーマ:妊娠・出産

 

– 印象に残っている出来事を教えてください。

 

初めて出産したとき、私は実母との不仲が理由で里帰り出産を選択しませんでした。

ただでさえ産後はメンタルが不安定なのに、さらに実母に乱されたくない……という思いからです。

私の周りでは「初めての妊娠は里帰り出産」という知人が多数派でしたが、実家には帰らず夫婦で乗り切ることを決意しました。

そして出産後、夫の仕事は激務のため、ほぼワンオペの育児が始まりました。

どこにも産後のお手伝いを頼まなかったため、退院した日から新生児と2人きり。

産後しっかり体を休める暇もなく、24時間の育児は正直大変でした。

けれども、自分のペースや心の声を大切にできたことは良かったと思っています。

 

– 当時のお気持ちと、どのように対応したか教えてください。

 

友人から「産後に誰にも頼らないなんて絶対無理だよ」と言われていた私は、やはり不安を感じて、本当に里帰りしないことが正解なのか何度も悩みました。

それでも覚悟を決めて臨んだ出産後、我が子に会えた嬉しさで気分がハイになっていたこともあり、不思議と育児に不安はありませんでした。

出産前に決めていた「家事は必要最低限にして、とにかく体を休めること」「宅配サービスを活用して、栄養のある食事は欠かさないこと」という自分との約束を守りながら、心と体が健康でいられるように気をつけて過ごしていました。

 

– 当時を振り返って、現在のお気持ちを教えてください。

 

2人目の出産も里帰りをしませんでしたが、「里帰りしない選択は2回とも間違いなかった」と思っています。

もちろん、夜泣きに対応しているときなど辛くて涙を流したこともありますが、もし実家で育児をしていたら不仲な実母の目が気になって、涙も流せなかったのではないかと……。

ただ、あの時期の必死だった自分を振り返ると、今からでも助けに行ってあげたくなります。

実母と距離を取ったことは正解でしたが、産後ヘルパーや家事代行サービスの利用を考えても良かったかもしれません。

 

– 当時、周囲の方々はどのような反応でしたか。

 

保育士をしていた私は、1人目の出産後に半年で復帰しました。

本当はもう少しゆっくりしていたかったのですが、保育士不足で職場から早期復帰を懇願されてのことです。

正職員のまま復帰した私は、わが子を別の保育園に長時間預けて他人の子どもをお世話する矛盾を感じ、その葛藤で何度も押しつぶされそうになりました。

夫は相変わらず多忙だったので、仕事・家事・育児の負担は私に重くのしかかり、限界に近い状況で……。

2人目の出産後は時短勤務を選択しましたが、同僚や上司には良く思われませんでした。

周囲のサポートがない状況でのワーママは、本当に肩身が狭いです。

 

– 悩んだ末に覚悟を決めて決断し、ずっと奮闘されてきたのですね。ありがとうございました。