本シリーズ「仕事とライフイベント」では、仕事とプライベートの両立など、悩みながら人生の選択をするビジネスパーソンからお話を伺い、毎回読み切り形式でお届けします。
※プライバシー保護のため一部内容を変えております。
<第19回>
お話を伺った方:Yさん(看護師/30代/女性)
テーマ:妊娠・出産
– 印象に残っている出来事を教えてください。
2度流産を経験したことです。
現在は2人の男の子の母親になりましたが、どちらを妊娠する前にも初期の流産を経験しました。
1回目は、8週目の妊婦健診で赤ちゃんの心臓が止まっていることが分かりました。
出血や腹痛もない稽留流産だったので、まったく自覚症状がなくて……。
健診の帰り道は地に足がついていないような感覚でしたし、現実をなかなか受け入れることができませんでした。
2回目は、切迫流産で内服治療を行いましたが出血が続き、1週間後には完全流産となってしまいました。
– 当時のお気持ちと、どのように対応したか教えてください。
初めての流産のあとは、誰かにその話をするだけで涙が止まりませんでした。
医師からは「初期の流産は母体のせいではない」と説明されましたが、やっぱり考えてしまうのは「私が無理をしたせいかな」とか「赤ちゃんがかわいそう」とか……。
家でも職場でも、気を抜くと泣いてしまう状態でした。
夫や両親に話を聞いてもらうことで、少しずつ気持ちを整理することができましたが、「妊娠してもまた流産するかもしれない」という不安が強かったです。
夫と相談して、積極的な妊活は行わず自然と妊娠することを待ちました。
– 当時を振り返って、現在のお気持ちを教えてください。
流産は私にとって、本当につらい経験です。
でも、その経験をしているから、妊娠や出産がいかに奇跡的なものであるか分かります。
無事に産まれてくるありがたさを知っているから、子どもたちを可愛く、愛おしく思っています。
長男と次男は妊娠中も出産時も特に問題なく、これまでも大きな病気や怪我をしたことがありません。
そんな風にすくすく成長できているのは、流産した2人の赤ちゃんが守ってくれているのだと思うようにしています。
子どもたちがもう少し大きくなったら、私の経験を話し、命の大切さを伝えたいと思います。
– 当時、周囲の方々はどのような反応でしたか。
流産した当時は、フルタイムで働いていて夜勤もありました。
職場の同僚や上司は心配してくれて、気を遣われていると感じることが多かったです。
ただ、気を遣われながら働くのは居心地が悪いですし、できるだけ気丈に振る舞っていましたね。
夜勤を減らそうか、と上司が提案してくれたこともありましたが、収入面を考えると勤務形態を変えない方が良いと思い、そのままにしてもらいました。
私の場合はゆっくりするよりも、仕事をすることでつらい気持ちを忘れるようにしていたと思います。
– 赤ちゃんが無事に産まれてくること、当たり前ではなく奇跡の連続ですよね。とてもつらい経験をされて、二人のお子様が元気に産まれるまで、ずっと不安なお気持ちを抱えていたと思います。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。