春の日差しがきらめく頃となりました。
心機一転、新生活をスタートした方々。
環境の大きな変化はなくとも、新年度を迎えて何となくソワソワしている方々。
各々、春の暖かさを感じていらっしゃるのではないでしょうか。
本シリーズ「仕事とライフイベント」では、仕事とプライベートの両立など、悩みながら人生の選択をするビジネスパーソンからお話を伺い、毎回読み切り形式でお届けします。
※プライバシー保護のため一部内容を変えております。
<第20回>
お話を伺った方:Kさん(小学校教員/30代/女性)
テーマ:転職
– 印象に残っている出来事を教えてください。
転職を迷っていたときのことです。
当時は神奈川県の小学校教員でしたが、結婚を機に夫の勤め先がある東京に引っ越しました。
東京から私の勤務先である神奈川県の小学校までは距離があり、車と電車で片道2時間かけて通っていました。
教材研究や保護者対応、行事の準備などに追われて毎日残業していて、まさに仕事三昧。
週末は新居の片付けや結婚式の準備でバタバタ……。
今思い出しても猛烈に忙しい日々を過ごしていました。
– 当時のお気持ちと、どのように対応したか教えてください。
二人の生活を始めて楽しく幸せな気持ちと、仕事に対するモヤモヤの両方がありました。
平日は朝早くに家を出て夜中に帰ってくる生活で、夫とほとんど話せませんでしたから。
「ずっとこんな生活を続けていくの?」と考え始めたら、いろいろなことが気になって……。
あるとき満員電車でつぶされそうになりながら、「もし妊娠したら、今の働き方は続けられない。赤ちゃんを守れない」と思ったんです。
今後のキャリアについて、校長先生にも相談して現実的な落としどころを探しました。
まず選択肢として挙がったのは、残業が少ないポジションや、比較的東京に近い神奈川県内の小学校への異動。
ただ、異動を希望してもいつ叶うか分かりませんし、何年も叶わないかもしれません。
ライフプランにかかわることなので、異動の可能性を信じてひたすら待つという選択はしたくありませんでした。
ほかにも、採用試験を受け直して東京の小学校教員になるなど、どうすることが将来の自分や家族のためになるのか本当に悩んでいましたね。
最終的に、このままでは結婚生活を楽しむことや、子どもを産み育てることが難しくなる……そう判断して、神奈川県の教員を退職しました。
– 当時を振り返って、現在のお気持ちを教えてください。
退職後、運良く東京で小学校の非常勤講師の募集を見つけ、応募して転職できました。
子どもの成長を見られる教員の仕事が好きだったので、続けられて嬉しかったですね。
現在は二人の息子にも恵まれ、大変なこともありますが楽しく暮らしています。
今の生活があるのは、あのときに落ち着いた生活を選ぶ決断をしたからこそ。
当時は悩んだけれど、思い切って舵を切って良かったです。
– 当時、周囲の方々はどのような反応でしたか。
当時の私は毎日ルーティンをこなすだけで精一杯。
平日の家事をすべて担ってくれた上、文句も言わず優しく接してくれた夫。
早朝や深夜に大変だから、と最寄り駅まで送迎してくれた義父。
退職の際、心のこもった手紙をプレゼントしてくれた子どもたち。
忙しい中、そのプレゼント企画をしてくれた同僚や保護者の皆様……。
たくさんの方々に温かく応援していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
そのおかげで、次の船に勇気を持って乗り込めました!
– 仕事もプライベートも大切だからこそ、すぐに結論を出すことは難しいですよね。「今は家庭を優先するとき」と決めて進んだ結果、現在はご自身が理想とするワークライフバランスを実現されているご様子。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。