本シリーズ「仕事とライフイベント」では、仕事とプライベートの両立など、悩みながら人生の選択をするビジネスパーソンからお話を伺い、毎回読み切り形式でお届けします。
※プライバシー保護のため一部内容を変えております。
<第3回>
お話を伺った方:Nさん(美容系メーカー広報/30代/女性)
テーマ:育児
– 印象に残っている出来事を教えてください。
育児休暇が明けて職場復帰した後のことです。
1年数ヶ月ぶりの仕事はなかなか勘が戻らず、周囲に迷惑をかけてばかりでした。
それでも就業時間が過ぎれば、待ったなしの育児の時間。
夫は仕事で夜遅くまで帰宅できず、互いの実家は遠方のため、頼れる人はいません。
自分一人の時間をつくってリフレッシュすることもできず、仕事とワンオペ育児の板挟みになってしまって……。
いつしか堰を切ったように泣き出す、叫ぶといった日が続くようになり、精神科を受診しました。
そこで適応障害と診断され、休職することになりました。
– 当時のお気持ちと、どのように対応したか教えてください。
当時は「考えれば分かることなのに、どうしてできないの……」と反省することが仕事でも私生活でも頻繁にあり、自分を責めることが多かったです。
世の中のワーキングマザーは皆できているのに、私だけが上手くいっていないように感じていました。
今思い返せば、うつ症状の一つだったのでしょう。
精神科を受診して、とにかく休むことを勧められたので、すぐに休職しました。
– 当時を振り返って、現在のお気持ちを教えてください。
現在も休職中ですが、もう少しで仕事に復帰する予定です。
今では育児も仕事も、すべて自分で何とかしようとは思わなくなりました。
できないものはできないと言うことや、頼れるものは頼ることを心がけて、「自分は自分。他者と比較しない!」と割り切るようにしています。
以前の私は、世の中のワーキングマザーや出産前の自分など、条件が異なる人と比較しては自分を責め続けていました。
それがメンタルに不調をきたした原因だと思います。
– 当時、周囲の方々はどのような反応でしたか。
休職する直前、つらすぎて上司に仕事を辞めたいと伝えたことがありました。
もう仕事を辞めて育児と家事に専念しよう、そうして時間が経てば何か仕事ができるようになるだろう、と思ったのです。
上司は話を聞いてから、「とにかく一旦休んでみたら?」と結論を急がず休むことを勧めてくれました。
休職することが決まったときも、私が担当していた業務を巻き取ってくれて、そのおかげですぐに休みに入ることができました。
上司の判断の早さや対応に感謝しています。
– 仕事も育児も全力で取り組んでいるのに、ご自身が「できるはず」と思うレベルで行えないことが本当につらい、というお気持ちが伝わってきました。何をするにも以前のようには時間をかけられない、それでも過去にできていたことはやりたい、という葛藤もあったのでしょうか。今はお休み中とのことですので、どうぞご自愛ください。