コンサルあるある⑩ 気を付けようと思ったとき

蒸し暑い日々が続いています。

そろそろ夏休みの計画を立て始めた方もいらっしゃるかもしれませんね。

本シリーズ「コンサルあるある」では、コンサルティング会社で働く方々に実体験エピソードを伺いながら、話の中に隠れている「あるある」も一緒に紹介します。

※プライバシー保護のため一部内容を変えております。

 

<第10回>

– 仕事中に今後気を付けようと思ったときのことを聞かせてください。

 

【ケース1】

お話を伺った方:Nさん(総合系コンサルティング会社/30代/女性)

 

優秀な後輩のAさんから「今のプロジェクトマネージャーは優柔不断だし、言うことがコロコロ変わる。もっとコンサルっぽい人と仕事がしたい」と言われたことがありました。

そのプロジェクトマネージャーは私の上司でもあったので、Aさんの言葉にどう反応すべきか分からなくて、「そっかぁ……」と苦笑いするしかなくて……。

ただ、Aさんが優秀だからこそ、能力に疑問がある上司の下で働いていると何かと不満が溜まることは想像に難くないですし、モチベーションに影響するということも理解できます。

それ以来、私自身もプロジェクトメンバーから「このマネージャー、大丈夫かな」と思われないように、決断を求められる場で曖昧にしないこと、できる限り迅速に意思決定をすることを意識しています。

指示内容を変更するときは理由を説明して、後輩が納得しているか、しっかり確認するようになりました。

 

– 実は意思決定が苦手なリーダーは珍しくありません。自信がない、責任を取りたくないなど理由は様々ですが、指示を待っているメンバーはやきもきしてしまいますね。リーダーが下す判断のスピードや内容の妥当性は、チーム全体のパフォーマンスに直結するため、「意思決定力」はコンサルタント、特に管理職に求められるスキルの一つといえるでしょう。迅速に必要な情報を収集し、「考えうる選択肢の中からメリットとデメリットを踏まえて何がベストなのか判断する」ことはコンサルティング業務で日々繰り返される作業です。

 

【ケース2】

お話を伺った方:Hさん(IT系コンサルティング会社/30代/男性)

 

思うようにパフォーマンスが上がらない後輩と話していると、上司への質問や相談について、必要以上にハードルを感じているように見えます。

「分からない、と言いにくい」「こんなことも知らないのかと思われそう」「もし間違えたら……と思うと慎重になってしまう」といった声を聞くこともあります。

若手メンバーが間違いや知らないことを悪だと思い込まないように、管理職が格好をつけずに正直に答えることが必要ではないでしょうか。

私自身は、後輩に知らないことを聞かれたときは知ったかぶりをせず、「ちょっと調べてみるね」「一緒に考えようか」などと返し、知ったかぶりをしないように気を付けています。

間違えても、やり直せば良いじゃないですか。

もちろん間違えると大変なことになる局面もありますが、そんなときは上司に相談して一緒に考える、ということに慣れてくれれば良いなと思います。

 

– プロジェクト期間中の言動で評価が決まると思うと、メンバーが「知らない」「分からない」と言えなくなってしまう気持ちも分かりますよね。ただ、何もないところから何らかの答えを導き出さなくてはいけない場面は、しばしば発生します。ときには、試行錯誤して出した答えがしっくりこない、ダメ出しされてしまう、ということもありますが、突破力を身につけるためには必要な経験といえるでしょう。メンバーが「そんなのやったことがない!」という場面でも、調べたり考えたりすれば何か出てくるはず、と立ち向かえるようになるまで、管理職が挑戦を後押しできると良いですね。

 

【ケース3】

お話を伺った方:Sさん(人事系コンサルティング会社/20代/女性)

 

あるプロジェクトにアサインされた際、クライアントの中で本社寄りの社員と現場寄りの社員で意見が対立していました。

プロジェクト遂行のためには、コンサルタントがどちらかに肩入れし過ぎるのも良くないですし、どのメンバーとも良好な関係を保つ必要があるので、振る舞いに気を遣っていましたね。

業務に関する話のほか、雑談もしますが、適度な距離感を保って中立の立場で発言することを意識していました。

 

– クライアント内で意見の対立がみられる場合、どのように対応すべきか戸惑うこともありますよね。プロジェクトではマイルストーンごとに利害関係者の同意が必要になりますし、手戻りなどのリスク低減のためにも、各関係者から忌憚ない意見を得られる関係を築くことが望ましいです。逆に警戒心や敵対心を持たれてしまうと、業務上のヒアリングなど現状把握が難しくなってしまいます。コンサルタントとして、クライアント企業のために客観的な意見を述べているのだと信頼してもらうためにも、関係者との適度な距離感は必要でしょう。