管理職による人材育成① 他部署の新入社員

5月に入り、入学式や入社式から1ヶ月以上経ちました。
企業で新卒社員研修に関わる人事部や管理職の方々は、コロナ禍のため研修プログラムを工夫しながら、日々奮闘されているようです。
新卒社員とのコミュニケーションは新鮮で楽しいことも多いですが、対応に悩んだり、後悔したりすることもありますよね。

本シリーズ「管理職による人材育成」では、企業で働く管理職の方々から人材育成について印象に残っているお話を伺い、毎回読み切り形式でお届けします。
※プライバシー保護のため一部内容を変えております。

<第1回>
お話を伺った方:Kさん(高級ホテルのフロントマネージャー/30代/女性)

– 社内の人材育成について印象に残っている出来事を教えてください。

以前、ホテルの調理部に新卒のAさん、Bさんという男性社員が2名入社しました。
入社して1ヶ月を過ぎた頃、Aさんは上司と上手にコミュニケーションをとっていましたが、Bさんは大人しくて上司とあまり話していないようでした。
あるとき、Bさんが会社の車で買い出しに出かけ、雪で車がスリップして電柱にぶつかる事故がありました。
幸い怪我はなく無事に戻ってきたのですが、Bさんの上司やAさんは「病院に行ってきたら」と言っただけで、それほどBさんを心配する様子もなく立ち去ってしまって……。

– 当時のお気持ちと、どのように対応したか教えてください。

私は当時フロントマネージャーで、Bさんは他部署のスタッフでしたが、周囲の対応に違和感を覚えました。
ならば自分がフォローしようと思い、2人分のお弁当を購入し、Bさんを追って病院に向かいました。
診察を終えたBさんを見つけてお弁当を渡すと、彼が笑顔を見せてくれて、少しほっとしたことを覚えています。
私が動いた理由は、Bさんは同じ職場で時間を過ごす大切なスタッフなのに、事故に遭い不安そうにしている様子を見過ごせないと思ったからです。

– 当時を振り返って、現在のお気持ちを教えてください。

あの時は見ていられず動きましたが、もし今同じような状況が起こったとしても、迷わず動くと思います。
日々、個人のスキルが高くても職場の連携ができていなければ、チーム力を高めることは厳しいと感じています。
だからこそ、どこに視点を置いて仕事をするのかは、私を含め一人ひとりの課題です。
これからも、洞察力や行動力、チーム力を磨いて状況に対応していきたいです。

– その出来事のあと、Bさんの様子はいかがですか。

いろいろと相談してくれるようになりました。
仕事にも慣れてきて自信を持ち始め、職場での笑顔が増えました。
自分からメニューを提案してくるようになり、Bさんの成長を感じて嬉しかったです。

– その出来事を経験されたことで、ご自身に変化はありましたか。

周囲にどのように助けを求めたら良いか分からなかった、新入社員時代の自分を思い出しました。
それ以降、新入社員の育成において、他部署の先輩にも相談しやすい環境をつくること、新入社員に自ら声をかけて理解しようとする姿を見せることを心がけています。
敢えて、完璧ではない自分の姿を見せることも有効なようです。

– 仕事に不慣れな時期は、上司に話しかけるだけで緊張することや、「こんなことで相談して良いのかな」と迷ってしまうことがありますよね。新入社員の自発的な行動も必要ですが、管理職が声をかけ、相談しやすい関係を築くことの大切さを改めて認識しました。ありがとうございました。