コンサルあるある③ 仕事だから、と割り切ったとき

本シリーズ「コンサルあるある」では、コンサルティング会社で働く方々に実体験エピソードを伺いながら、話の中に隠れている「あるある」も一緒に紹介します。

※プライバシー保護のため一部内容を変えております。

 

<第3回>

– 仕事だから、と割り切ったときのお話を聞かせてください。

 

ケース1

お話を伺った方:Gさん(総合系コンサルティング会社/30代/女性)

 

コロナ感染拡大前、プロジェクト関係者との業務外のお付き合いが多く、その流れでゴルフを始めることになりました。

ゴルフを始めるとなると、金銭的に大きな負担が生じます。

私の勤務先では、プレイフィーは経費として精算できますが、用具やウェアの購入費、ゴルフ場までの交通費等は全て個人負担です。

さらに土日でゴルフコンペなどに行くことが多いため、オフの時間をまったく取れない週もありました。

本音ではあまり参加したくないのですが、業務外でのコミュニケーションをきっかけに業務上でも話しやすくなることはよくあるので、毎回ではないけれど参加しています。

お互いのことを知れて、ちょっとした相談や確認など気負わずに声を掛けられるようになる、というのは確かにあると思うので……。

割り切って参加すると決めたら、当日は積極的にコミュニケーションを取るようにしています。

 

– コロナ禍で会食やイベントは減少していますが、「関係者との親睦を深めるためにオフの時間を犠牲にするか葛藤する」ことは、どの業界でも見られるあるあるです。コンサルタントの場合、プロジェクトが変わればクライアントもチームメンバーもガラっと変わることが多いため、プロジェクト開始直後や終了後はお誘いが増える時期です。仕事を円滑に進めるための関係づくりは大切ですが、リフレッシュに必要なオフの時間は確保したいですよね。

 

ケース2

お話を伺った方:Nさん(戦略系コンサルティング会社/20代/女性)

 

プロジェクトチームの一人であるクライアントが、施策案に対して実行できない理由を挙げるばかりで、何も決められなかったときのことです。

社内事情に詳しいからこそ、次々と懸念事項が浮かんでくるのだと思いますし、考慮すべき大事な意見ではありました。

ただ、私にはその担当者が変化を嫌うというか、上手くいかなかったときの責任を取りたくないようにも見えて……。

現状に課題があるからプロジェクトを組んで対応策を検討しているのに、「あれもだめ、これもだめ」の状態で、困ってしまいました。

「何もしなければ何も変わらないですよ」ときっぱり言いたくなりましたが、当事者であるクライアントが納得しないと協力して進められないため、非難するような言い方はできません。

「これも仕事」と割り切って、その方が心配していること、不安に思っていることを改めてヒアリングする時間をつくりました。

 

– 企業風土によるところも大きいですが、社内で前例がない取り組みについて慎重になり、判断を先延ばしにする責任者は珍しくありません。「リスクを取ることを避けて何も決まらない」ことは望ましくないですが、クライアントとの議論で経験するあるあるです。保守的な企業のほか、先進的なイメージがある大企業でも、失敗できないプレッシャーにさらされている責任者に見られます。同業他社、または他業界のリーディングカンパニーが着手している施策であれば、ハードルが下がり合意できるときもあるようです。

 

ケース3

お話を伺った方:Kさん(総合系コンサルティング会社/20代/男性)

 

業務効率化のプロジェクトにおいて、上司がクライアント側の管理部門と議論を進め、現場の方々には意見をあまり聞かずにオペレーション変更を行ったときのことです。

「現在○○という課題があるので、△△の方法を取り入れます。来週から実行してください」というような強引なやり方をして、現場で働くクライアントの不満は日々大きくなるばかりでした。

それでも、日頃から上司の高圧的な言動を見ていた私は、反論することに及び腰になってしまい、何も言えなくて……。

丸く収める自信はありませんでした。

現場の方々に対して心苦しく感じていたものの、状況を変えられるような方法を思いつかないまま、仕事として割り切って上司からの指示を実行していました。

割り切りというより、諦めに近かったと思います。

今なら所属部署でお世話になっている他の上司に相談することもできますが、当時はプロジェクトの上司に従うしかないと思い込んでいました。

 

– クライアントの表情が曇ったことに気づいてフォローしたくても、上司の顔を潰すことになるかも……と考え、身動きが取れないときもあるでしょう。「上位者の言動についてクライアントに対して申し訳ない気持ちになる」ことは、特に洞察力に優れている方が経験しやすい、あるあるかもしれません。頻繁に起こるようであれば、チーム全体がクライアントからの信頼を失う可能性もありますので、一人で抱え込まず他の先輩や上司に対応を相談してみても良いかもしれませんね。